防災対策〜武雄ver.〜

今年も水害が全国で広がっています。

そのニュースを見るたびに悲しくなったり心配になったり…それは武雄で被災した皆さんも同じのようで、会うたびに「大丈夫やろうかぁ」「ニュース見てるとドキドキする」「これからが大変やもんね」と当時を思い出しながら心配そうな顔をされます。

そんな武雄の被災者も令和元年、令和3年と立て続けに大水害に遭い、各家庭でいろんな防災対策をされているので、今日はそんなオリジナル対策を一部紹介しようと思います。

まず、一つ目は【車を逃す】

武雄市が発行した災害記録誌にも書いてあるのですが、被災車両が令和元年は約1200台、令和3年は約500台と3分の1以下に減っています。これは令和元年の教訓を生かしたからこそだと思いますが、この2回の水害は全く同じ水害ではありません。線状降水帯の位置のせいか令和元年に浸かったけど3年は浸かっていない、逆に令和元年は床下浸水だったけど令和3年の方が1mほど高くまで水が来たというところもあります。避難所として開かれていた公民館に一家全員駐車して4台全てダメになったという方もいます。

私たちおもやいも実は令和3年に油断して1台だけ、しかも軽トラを浸けてしまったという苦い経験があるので、今では「今回は大丈夫だろう」と思っても武雄市が車両避難所を開設してくれた際は必ず避難させるようにしています。

できれば、この車を避難させるときに人も安全な場所に避難してもらえたらいいのですが、この時一旦家に帰る方が多いのが現実です。救助してくれる人たちの命を守るためにも避難所ではなくてもいいので命を守る安心して避難でいる場所を見つけておくといいのではないかと思います。

2つ目は【押し入れの下段にものを入れない】

水が来たときにものを上げやすくするため、下段には普段からものを置かないという方も多いです。さらに、上段も予めコンテナに荷物を入れておいていざという時に上にあげるだけで済むようにしている方もいます。壁の上の方に収納式の棚を作っておいていざというときはそこに上げられるようにしておく、など工夫しながら再建された方もいます。

訪問して荷物の逃げ場の話をすることも多いのですが、この空いている押し入れ下段を活かせたらいいのになと考えていたときに、福岡の蔵田工業株式会社さんに見せていただいた車両を浸水から守るシートを改良していただいているのが家財を浸水から守るシートです。

3つ目は【送風機を高いところに設置&あえて畳の部屋を残す】

以前の事務所でも地面から1m以上上げて送風機を設置していたことで、令和3年は床上浸水40cmだったのですがエアコンが壊れることはありませんでした。特に暑い季節に起こることが多い水害にとってはエアコンを守るということは健康面で見てもとても大事なことです。

ということで、新しい事務所もしっかり送風機は上に設置してもらいました。

私たちの事務所だけでなく他の家も同じように上げてあったり、浸水が深い場所にある作業所は屋根の上に置いてあるところもあります。

同じく浸かってしまってからの復旧を早めるという点で【あえて畳を残す】という選択肢をした方もいます。もちろんフローリングの方がもしかしたら拭きあげるだけで生活ができるかもしれませんし、復旧が早くなるかもしれません。

ですが、水害常習地帯でもある場所の方はそれ以上に大事なことを知っていました。

それは「しっかり乾燥させる」という水害の家屋復旧において一番大事なことです。畳の部屋があった方が全て剥いで風を送ることができる。全てフローリングにしてしまうとそれが難しくなるからあえて1部屋は畳の部屋を残した、とおっしゃっていました。

もちろんフローリングでも乾燥できなくはないのですが、床下点検口が無ければ穴を開けないといけないし、穴があったとしても潜ってサーキュレーターや送風機を設置しなければいけません。乾燥ができないまま床を塞いでしまうとカビが生えたりシロアリにやられやすくなったりと家にとってはかなりの致命傷が。

先人たちは日本の気候を考えた上で家を建てていたのだなと改めて感心させられました。

他にもいろんなアイデアを教えていただいて、やりながら時には失敗しながら一緒に改良している武雄オリジナルの防災対策。どうしても水害のリスクがある場所に住むためには工夫が大事です。防ぐことは難しくても被害を少しでも減らすためにこれからも武雄の皆さんと防災対策を考え、発信していきたいです。

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